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2021年下半期以降、不動産投資に期待集まるか?~東京の不動産価値を多角的に分析~

2021-10-25 10:28:56 webmaster 107

投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント(本社:東京都渋谷区、以下GLM)は、(1)東京という都市を分析しその魅力を世界に向けて発信すること、(2)不動産を核とした新しいサービスの開発、等を目的に、明治大学名誉教授 市川宏雄 氏を所長に迎え、「グローバル都市不動産研究所(以下、同研究所)」を2019年1月1日に設立しました。(過去のレポート一覧はこちら ⇒ https://www.global-link-m.com/company/institute/)同研究所では、調査・研究の第12弾として、2021年上半期の東京の人口動向とマンション・オフィス市況を振り返り、新型コロナウイルス感染拡大による投資活動への影響や、海外投資家から見た東京の不動産価値について分析いたしました。

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TOPICS1.【東京の人口動向】日本人は人口流入が続いている

 ・東京都の人口推計によると、2021年1月から若干の減少になるも、5月1日には1405万6643人まで回復。しかしその後は再び減少に転じた。新型コロナウイルスの影響で外国人が大幅な減少となったことが主な要因。

 ・日本人は17区で増加し、特に江東区などの都心区や、練馬区などの学生や新入社員が好む区で人口増が目立った。

TOPICS2.【マンション・オフィス市況、地価動向】住宅系の不動産取引が堅調

 ・東京都区部の新築マンションの新規販売戸数は、2021年1月には緊急事態宣言を受けて減少したが、8月まで7カ月連続で前年同月比プラスとなった。中古マンション成約件数も活況を呈したが、8月には感染拡大の影響で19.2%減となった。一方、成約平方メートル 単価は8月まで16カ月連続で前年同期比プラスを維持している。

 ・住宅系地区の地価は昨年の横ばい基調から上昇基調へと変わりつつある。

TOPICS3.【投資動向】インバウンドのオフィス・ホテル取引額が増加、不動産投資の意欲も高い

 ・インバウンド投資額の総額は頭打ちとなるも、海外投資家の投資活動は回復傾向にある。地価が下落傾向にある商業地への関心が高まっており、住宅・商業の両方で東京の不動産価値は底堅いと言える。

 ・緊急事態宣言以降、将来の収入への備えとして新たに投資を始める人が増えている。家計の金融資産のうち、特に株式や投資信託残高が極めて高い伸び率になっている。

 ・「今後1年間で不動産投資を積極的に行う」と回答した割合は2019年10月の95%に迫る勢いまで回復している。

市川宏雄所長による分析結果統括コメント

 東京への人口流入は確かに減少したが、去年は増加であった。さらに都心回帰の動きは依然として続いており、都心の不動産は住宅地についての下落は顕著には見られていない。コロナ禍で供給が減り需要とのギャップが生じ、今回のパンデミックを経験して不動産に興味を持つ人が増え、東京都心に対する不動産投資の国内外の注目は続くと思われる。

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TOPICS1.【東京の人口動向】日本人は人口流入が続いている

 東京都の人口推計(2020年国勢調査人口(速報値)を基準に補正された人口推計値)によると、2021年1月1日の総人口は1405万3823人で、その後若干の減少となりましたが、3月中・4月中に大学などへの進学、会社への就職・異動により増加に転じ、5月1日には1405万6643人まで回復しました。しかし、その後は再び減少に転じています【図1】。


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 ただし、2021年上半期(1~6月計)の人口増減の状況を日本人・外国人別にみると、日本人は必ずしも減少していないことが分かります。新型コロナウイルス感染の第3波、第4波によって外国人は1万7509人減と大幅な減少となりましたが、日本人は1万2832人の増加となっています。

 東京23区別にみても、日本人は17区で増加となっており、特に中央区(850人増)や台東区(738人増)、江東区(1273人増)などの都心区、練馬区(1546人増)や中野区(913人増)といった学生や新入社員が好む区で人口増が目立っています【表1】。

 (ご参照:グローバル都市不動産研究所第9弾レポート『コロナ禍で人口はどのように変化したか?』https://www.global-link-m.com/ver2017/wp-content/uploads/2021/03/20210322_01_institute.pdf

TOPICS2.【マンション・オフィス市況、地価動向】住宅系の不動産取引が堅調

 続いて、東京都区部のマンション・オフィス市況、地価の動向をみていきます。

・マンション市況

 東京都区部の新築マンションの新規販売戸数は、2020年4月の初の緊急事態宣言を受けて、4月に前年同月比42.1%減、5月に69.9%減と、一気に供給が絞り込まれましたが、10月には51.5%増と大幅な増加となりました。また、2021年1月は緊急事態宣言を受けて43.5%減となりましたが、4月、5月はそれぞれ154.3%増、413.6%増と活況を呈し、8月まで7カ月連続で前年同月比プラスとなっています。契約率も、2021年2月以降、7~8割で推移しており好調と言えます【表2、図2】。


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 中古マンション成約件数も、2020年4月に前年同月比54.4%減、5月に38.7%減と急減しましたが、7月にはほぼ前年並みに回復し、10月には32.7%の大幅増となりました。2021年に入り、4月に110.7%増、5月に89.7%増と活況を呈しましたが、8月には感染拡大の影響で19.2%減となっています。成約平方メートル 単価は、2020年4月以降、大きく上昇傾向をたどっており、2021年8月まで16カ月連続で前年同月比プラスを維持しています【表3、図3-1、図3-2】。


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・東京都心5区のオフィス市況

 東京都心5区のオフィスビル平均空室率は、2021年8月には6.31%(前月比0.03ポイント増)で、供給過剰の目安となる5%を上回るのは7カ月連続となっています。ただしその上昇幅は、6月(0.29ポイント)や7月(0.09ポイント)に比べて縮小しつつあります。

 地区別にみると、港区(0.19ポイント増の8.49%)と渋谷区(0.22ポイント増の6.67%)で上昇していますが、丸の内地区などで安定した需要がある千代田区は4.49%(0.05ポイント減)と低下に転じ、中央区も5.59%(0.01ポイント減)とほぼ横ばい、新宿区は6.08%と3カ月連続で低下しています。

 平均賃料は5区全域で20,932円(前月比0.54%、113円減)となり、13カ月連続で下落しています【図4】。


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・地価動向


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 国土交通省が四半期ごと(毎年1月・4月・7月・10月)に公表している「地価LOOKレポート」によると、2021年第2四半期(2021年4月1日~7月1日)の東京都区部主要地区の地価動向は、上昇が7地区、横ばいが7地区、下落が10地区となりました。その内訳は、住宅系地区は上昇6地区、横ばい1地区、商業系地区は上昇1地区、横ばい6地区、下落が10地区、となっています。

 住宅系地区は、すでに前回調査(2021年1月1日~4月1日)で上昇に転じていた番町、南青山、二子玉川の3地区は「ブランド力のある高級マンションについて国内外の富裕層からの購入需要は引き続き強い」(番町)、「在宅勤務の浸透等も追い風となり、一次取得者層を中心とした良好な購入マインド等を背景に住宅需要は強まっている」(二子玉川)と引き続き上昇、前回調査で横ばいであった佃・月島、豊洲、有明の3地区も上昇に転じ、「根強いマンション需要に支えられ、マンション分譲価格については上昇傾向が続くと見込まれる」(佃・月島)、「新型コロナウイルス感染症の影響により停滞していた売買取引は回復基調が続いており、直近の新築分譲マンションの販売状況も良好な状態が続いたことから、マンション分譲価格は緩やかな上昇に転じた」(豊洲)など、昨年の横ばい基調から上昇基調へと変わりつつあります【図5】。

 商業系地区は、オフィス市況及び賃貸店舗市況の先行きがまだ不透明であることから、丸の内、有楽町・日比谷、六本木、渋谷などで下落傾向が続いています。

 また、2021年9月21日に発表された「東京都基準地価格の概況」によると、地価公示の標準地と同一地点である基準地(共通地点)で、前半期(2020年7月1日~2021年1月1日)・後半期(2021年1月1日~7月1日)に分けて地価変動率をみた場合、東京23区における住宅地の変動率は前半期0.0%の横ばいから後半期には0.5%の上昇となっています。商業地の変動率も前半期0.6%の下落から後半期0.1%の下落へと縮小しており、やや落ち着きを見せ始めています【表4】。


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TOPICS3.【投資動向】インバウンドのオフィス・ホテル取引額が増加、不動産投資の意欲も高い

・海外投資家の動向

 商業地区の地価は下落傾向が続いていますが、海外から東京の不動産に対する投資(インバウンド投資)では、オフィスやホテルなど商業系の不動産取引額が増えています。

 CBRE(https://www.cbre.co.jp)の 「インバウンド投資・アウトバウンド投資 日本2021年上期」 レポートによると、海外投資家による日本へのインバウンド不動産投資額は前年同期に比べて42%(43億USドル)減少していますが、これは前年同期に超大型取引が散見された反動が主因とされています。超大型取引を除いた投資額(5億ドル未満の投資額)は2019年上期の投資額を上回っており、投資市場自体は回復しつつあります。

 タイプ別にみると、オフィスの構成比が全体の51%を占めています。また、コロナ後を見据えたホテルの取引額も前年より増加しています。

人口流入が続いており、新築・中古マンションの取引が堅調なうえに、商業系地区は地価の下落傾向が続いているものの海外投資家が積極的に動いている状態です。住宅系・商業系ともに東京の不動産価値は底堅いと言えます。

・国内投資家の動向

 2020年4月の緊急事態宣言以降、将来の収入への備えとして新たに投資を始める人が増えています。

 日本銀行による資金循環統計(2021年第2四半期・速報)によると、2021年6月末の家計の金融資産残高の合計は、約1992兆円(前年比6.3%増)になり、過去最高を更新しました。家計の金融資産のうち、「現金・預金」が前年比で4.0%増(前年から41兆円増えて1072兆円)となった一方で、「株式等」が30.0%増(48兆円増えて210兆円)、「投資信託」が28.7%増(20兆円増えて89兆円)と、これらが極めて高い伸び率となっているのが注目されます。昨年秋からの世界的な株価の上昇や、資産運用ニーズの高まりなどによって、株式や投資信託の残高が大きく伸びたと考えられます【表5、図6】。


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・不動産投資の動向


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 不動産投資に目を向けると、2021年第2四半期の東証REIT指数(配当除く)は、3月末比で6.8%上昇しています。セクター別では、商業・物流等が7.3%増、住宅が6.5%増、オフィスが6.4%増となりすべてのセクターで上昇しています(ニッセイ基礎研究所調べ)【図7】。

 住宅や物流等はコロナ禍でも安定的に需要が見込まれること、またオフィスについてもテレワーク拡大等によるオフィス縮小・撤退の動向も一巡し、東京のオフィス空室率も世界主要都市と比べて低水準であることから、海外資金の流入が継続し上昇を下支えしているようです。一方で、コロナ禍が長期化した場合のオフィス需要回復の遅れや、2023年以降に予定される大規模オフィスビル供給に伴う空室率拡大への懸念を指摘する見方もあります。

 また、日本不動産研究所が、アセット・マネージャー、不動産開発業(デベロッパー)、保険会社といった、いわゆるプロの不動産投資家を対象に年2回実施している「不動産投資家調査」によると、「今後1年間の不動産投資に対する考え方」で「新規投資を積極的に行う」と回答した割合は、2020年4月には86%と急減していましたが、半年後の2020年10月に92%と改善し、2021年4月には94%と、コロナ禍以前の2019年10月の95%に迫る勢いまで回復しています【表6】。

 今年秋ごろには日本でも国民の多くがワクチンを接種し終え、コロナ禍もようやく一段落つきそうだとの観測から、不動産投資への期待が高まりつつあるようです。

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2021年下半期以降、不動産投資に期待集まるか?~東京の不動産価値を多角的に分析~:イザ! (iza.ne.jp)より